「ブロックチェーン」や「仮想通貨」、「NFT」、「メタバース」といった言葉はメディアでも見たり聞いたりすることが増えました。
ではWeb3(ウェブスリー)はどうでしょう?
情報感度の高い人ならSNSやブログなどのメディアを通じて知識を得ていることでしょう。
僕をはじめ、一般的な人たちであれば
とか
くらいに思うはずです。
しかし、Web3の時代はすでに始まっており、着々と進行中。
Web3を学ばずとも生きていけますが、それは確実に損をしているといえるでしょう。
Web3のサービスが認知・普及することで、企業よりも個人が活躍できる世の中になっていくと考えます。
よって学ぶ人と学ばない人の差はどんどん大きくなっていく世の中になるでしょう。
僕も自分の言葉でまとめてみました。
素人目線でWeb3をわかりやすく解説します。
一緒に学んでいきましょう。
目次
Web3に至るまでの歴史
抽象的な概念なので今の段階でWeb3の説明をしてもわかりにくいでしょう。
この段階でWeb3を説明するのは、四則演算を習っていない状態で連立方程式を解け、といわれているようなもの。
Web3を知る前に、そこに至るまでの歴史を知ることで理解を深めやすくなります。
Web1.0とは
1990年~2005年くらいがWeb1.0時代と定義されています。
インターネットの登場が革命といわれています。
一部の人間しか扱えなかったパソコンに付加価値をもたらしました。
Web1.0以前の情報発信といえば、テレビやラジオ、本といったメディアがメイン。
一般人が情報発信というのは夢のまた夢でした。
パソコンの普及率も今よりは低かったので、情報の発信者と閲覧者は限られており、立場を変えることも難しかった時代です。
HTMLを学んでも、ホームページを作り上げるハードルが高かったのがWeb1.0。
今と違いワードプレスやブログサービスなど、文明の利器はもちろんありません。
高いハードルを突破して、ホームページを作った人のみが情報発信をしていたのです。
よって発信者は少数。
情報の伝達は発信者から閲覧者への一方通行が基本でした。
ホームページ自体も今ほど装飾や動きのある使いやすい・見やすいものではなく、文字と画像がメインの簡素なものです。
パソコン自体もインターネット利用料金も高く、インターネット上の情報量も少なかったことから今ほど実用的ではありませんでした。
やり取りは基本的に電子メールしかありません。
Web2.0とは
情報の伝達は一方通行から相互通行へ。
今もWeb2.0の延長であるといえます。
Web1.0と比べると情報発信のハードルは下がっており、誰でも気軽に情報発信ができるようになりました。
Web2.0の最大の発明は「SNS」ではないでしょうか。
LINEにInstagram、Twitter、Facebookなど。
個人や団体、国内から海外まで簡単につながれるようなっています。
SNSの利用で即レスも可能になりました。
ブログはワードプレスで簡単に作れ、動画はスマホでサクッと撮影し、YouTubeやTikTokに投稿。
コメント欄では発信者と閲覧者がチャット形式でコミュニケーションをとれるようになっています。
個人が情報発信できるようになったことで、企業に属さない生き方をする人もちらほらと現れ始めました。
YouTuberやブロガーといった人たちですね。
Web1.0から個人向けに尖ったのがWeb2.0です。
Web2.0で浮き彫りになった問題
個人が活躍を始めたWeb2.0時代ですが、問題も浮上しています。
いずれも中央集権の弊害といえるでしょう。
特に下記の2点。
- お前のモノは俺のモノ、俺のモノは俺のモノ
- プライバシー侵害、行動が監視されている
テクノロジーの進歩と問題は常にセットですね。
お前のモノは俺のモノ、俺のモノは俺のモノ
僕たちはインターネット上のサービスを使うとき、ユーザー登録をします。
SNSも同様です。
ドラえもんに登場するキャラで例えると、運営会社はジャイアンです。
ユーザーの僕たちは「のび太」といったところでしょうか。
のび太がジャイアンの私物を使っていると考えてください。
ジャイアンといえば、普段は理不尽のカタマリですよね。
ジャイアンが急に「返せ!」といえば返さなくてはいけません。
返さなければ殴られます。
「殴られる」というのがSNSに置き換えると、アカウント凍結などですね。
仮にのび太個人が社会的に力を手に入れたとしても、ジャイアンにはかないません。
SNSで例を挙げるならトランプ元アメリカ大統領です。
不動産で莫大な富を築き、アメリカの大統領にまでなった人です。
まさに力を持っている個人といえるでしょう。
そんなトランプ元大統領でさえ、Twitterアカウントは凍結されています。
Twitterを使う以上は、Twitter社に従うしかないのです。
もう1つ、Amazonの電子書籍サービス、Kindleの事例を紹介しましょう。
2021年8月「Kindleに保存した4000冊が読めなくなった」というニュースがありました。
当事者のAmazonギフト券の購入方法に規約違反があり、アカウント停止処分を喰らったのが原因です。
電子書籍はAmazonに所有権があり、僕たちは利用権を買っているにすぎません。
規約に記載がないことでも、Amazonがダメといえばダメ。
その行為について、故意か偶発的かは問いません。
弁明の余地もなくアカウントは停止。
サービスも使用不可能となるのです。
大手企業になるほど僕たちの日常生活と密接にかかわっています。
関われば関わるほど、大手企業の都合に振り回されやすくなるでしょう。
それだけ企業が行使できる権力は巨大化しているのです。
プライバシー侵害、行動が監視されている
登録したアカウントから年齢や性別をはじめとして、「どの端末からどのようなコンテンツにアクセスしているか」などを判断。
興味のありそうな広告を勝手に表示します(リマーケティング広告)。
現実世界でいえば、「知っているけど親しくもない人から、突然興味があるものを渡される」ようなものじゃないでしょうか。
怖いですよね。
インターネットの裏側で動いている、cookieという仕組みによるものです。
監視されている実感がわかないのが特徴。
広告といえど自分が興味のあるものです。
邪険にできません。
だからこそたちが悪いといえるでしょう。
プライバシー侵害は広告だけにとどまりません。
中央集権型の企業には個人情報漏洩のリスクもあります。
アカウントを管理しているのが1人ならば、その1人をどうにかしてしまえば個人情報は思いのまま。
ハッカーの攻撃うんぬんを抜きにしても、人的ミスによる個人情報の漏洩もあります。
「〇〇社から××万件の個人データが流出しました」というニュースが日々、報道されていますよね。
まさにそれです。
何もかも1人に任せていては危険と考えるのが自然でしょう。
Web3(Web3.0)とは
ここでようやくWeb3の説明です。
Web3という言葉はイーサリアム共同創設者のギャビン・ウッド氏が提唱しました。
Web3とはブロックチェーンを利用したインターネット概念のことです。
「脱・中央集権」がキーワード。
オープンソースのサービスが多く、特定の企業に依存しないサービス開発を目指しています。
Web2.0よりもさらに個人向けに特化。
ですので「分散型インターネット」、「非中央集権型インターネット」ともいわれています。
ブロックチェーン技術の利用で特定の管理者が必要なくなります。
ブロックチェーンとはデータの取引を正確に記録できる技術のこと。
管理者による制限がなくなるのでより個人の活躍の場が広がるでしょう。
基本的にユーザー全員で運営・管理するので不正はできません。
もし嘘をついてもすぐにばれます。
想像してください。
ブロックチェーンの利用者は全員がメンタリストDaiGoさんのようなものです。
たとえ嘘をついても目や体の挙動から嘘だとバレてしまいます。
嘘をつこうとすら思わないでしょう。
ブロックチェーンと関係のあるサービスはすべてWeb3といえます。
Web3 = ブロックチェーン = 仮想通貨 = NFT = DAO = DeFi = GameFiといってもよいでしょう。
僕は「Web3とは社会主義と資本主義のいいとこどり」だと考えています。
社会主義のように平等であり、資本主義のように自由です。
Web3のメリット
Web3の特徴といってもよいでしょう。
- 誰でも利用できる
- データの管理者は自分自身
- 高いセキュリティ性
- 仲介業者の排除
いずれもWeb2.0で実現できなかったことを成し遂げています。
誰でも利用できる
とお叱りの言葉が飛んできそうですね。
まさにその通りです。
しかし、国によっては規制により使えないアプリもあります。
代表的なのが中国ですね。
グレートファイアウォールにより、SNSやYouTubeへのアクセスはできません。
中国が「自国の不利になるような情報を遮断」しているためです。
Web3は管理者を必要としないブロックチェーン技術を採用しています。
実際に中国は仮想通貨を規制していますが、規制しきれていません。
運営元がない以上、誰を規制してよいかわからないからです。
Web3が普及することで本当の意味でインターネットを「誰でも利用できる」世の中になるでしょう。
データの管理者は自分自身
自分の個人情報は自分で管理。
当たり前ですよね。
今までがおかしかったんですよ。
ブロックチェーンを採用したサービスに登録すると、データの所有者はユーザー自身となります。
個人情報をどこまで公開するかも選択可能。
これにより個人情報と行動は監視されません。
Web2.0の問題点であったリマーケティング広告の表示はなくなります。
高いセキュリティ性
ブロックチェーン技術によりハッキングや不正は難しくなっています。
取引の不正は、ユーザー全員で管理・運営することで排除。
自動で悪意あるユーザーを選別して排除する仕組みもできあがっています。
ブロックチェーンでは複数の端末を使って取引の承認を行います。
ということは、ハッキングするなら同時に複数台を攻撃しなければなりません。
右を見ながら左は見れませんよね。
まさに分散型の強みといえます。
仲介業者の排除
通常、インターネット上の取引には仲介業者(プラットフォーム)による介入がありました。
彼らの立場からすると「うちのサービスを使うんだったら決済金額の一部をシステム利用料としてもらいますね」といった感じ。
Web3は個人間でダイレクトにやり取りをします。
仲介業者は必要なくなるため、彼らに支払う利用料や手数料も必要ありません。
さらに規約の変更やサービスの廃止といったリスクに振り回されることもなくなります。
Web3のサービス
ここではWeb3の技術を活用しているサービスを3つ紹介します。
比較的簡単なものから難しいものまでをピックアップしました。
Brave
Brave(ブレイブ)はアプリケーションです。
ブラウザといった方がわかりやすいでしょう。
Google ChromeやSafariといった従来のブラウザと違うところは、広告表示の有無。
Braveでは標準設定で「広告は非表示」となっています。
BraveからYouTubeにアクセスすると動画内での広告もなくなります。
実質プレミアムですね。
さらにBraveが厳選した広告を見たり、Braveでネットサーフィンをしているとベーシックアテンショントークン(BAT)という仮想通貨が貯まります。
日常生活で頻繁にGoogleを使う人はBraveに切り替えていただきたいです。
BATはブラウザのトップ画面で確認できます。
貯まったBATは投げ銭としても活用できますよ。
具体的にいうとツイッターですね。
BraveからTwitterにログインしてみてください。
「コメント」「リツイート」「いいね」「共有」のほかに「チップ」という新しい項目が表示されています。
自分のお気に入りのクリエイターに1BATから投げ銭できますよ。
ちなみにChromeやTwitterアプリからのアクセスでは、「チップ」の項目は表示されません。
ブラウザをBraveに変えるだけですので、気軽にWeb3へ触れたい人にはおすすめです。
OpenSea
日本でもようやく火が付き始めてきたNFT。
OpenSeaは世界最大のNFTマーケットプレイスです。
NFTを購入するならOpenSeaの利用はマスト。
OpenSeaもWeb3の活用事例の1つです。
OpenSeaはユーザー登録が必要ありません。
MetaMask等のウォレットサービスにあらかじめ登録しておく必要があります。
登録が必要なのはウォレットのみ。
OpenSeaにはウォレットから個人情報を紐づける形でログインします。
慣れてないうちは違和感がありますが、使っているうちに気にならなくなるでしょう。
商品購入時に必要だった個人情報の入力も不要になります。
ウォレットに登録している情報を引っ張ってくるからです。
これが一般のネットショップにも搭載されたらかなり便利ですよね。
何個もIDやPWを管理しなくてもよくなり、買い物もさらに効率よく行えるようになります。
Braveと比べると、少し調べる必要はあるでしょうが、情報は多く出回っています。
NFTに興味がある人はやってみるとよいです。
DEX
分散型取引所のこと。
Decentralized EXchange、通称DEXです。
Uniswap、PancakeSwap、Sushiswapなどを総称していいます。
CoincheckやbitFlyer、DMM Bitcoinとは対極にいる取引所です。
中央集権型取引所と違う点は、法定通貨で仮想通貨が買えないところです。
代わりに仮想通貨間の取引に特化しています。
管理者もおらず、誰の介入で安心して取引できるのでしょうか?
それはブロックチェーン上のシステム、「スマートコントラクト」により安全性を確保しています。
スマートコントラクトは「特定の条件を満たしたら処理が自動で実行される」プログラムのことです。
難しい契約でも条件を難しくすることで対応可能。
DEXはある程度の専門知識が必要です。
やるなら自己責任でお願いします。
上級者向けのサービスです。
日本のWeb3事情
日本のWeb3は海外と比べると遅れています。
原因は日本の法律・税制によるものです。
日本国内でWeb3関連の所得を得ると税金面で不利になります。
特に大きく稼ぎたい人は、日本から海外にフィールドを移しているのが現状です。
仮想通貨を例に説明してみましょう。
日本の場合、仮想通貨の売却益は雑所得として計上されるので不利といわれています。
雑所得は累進課税制度を導入しているため、最大55%。
つまり稼げば稼ぐほど納税額も大きくなるわけです。
ちなみに「株」は約20%。
アメリカやイギリスでは、仮想通貨の売却益にかかる税金は最大20%です。
そりゃ海外に拠点を移したくもなります。
そんな日本でもようやくNFTに火が付いたといった感じ。
それでもまだボヤ程度です。
まあ、NFTをやらなくても生きていけますからね。
まだまだ情報感度が高い人達だけ、といった印象を受けます。
まとめ
これからインターネットを使っていく人たちは「これがWeb3かぁ・・・」などと実感することなくWeb3に触れていくでしょう。
つまり、インターネット自体の使い方は変わらないということです。
目に見える部分はほとんど変わらず、裏側で動いている仕組みが変わっていくのです。
Web3自体は人々の生活を快適にしてくれます。
課題があるとするならば、インターネットを使う人のITリテラシーです。
技術は進歩しても適切に使えるようにならなければ意味がありません。
自分が詐欺師の立場で考えてみてください。
アプリやインターネット上のバグを突いて荒稼ぎするよりも、知識の乏しい人を騙す方が簡単です。
2022年2月公表のデータでは、振り込め詐欺やオレオレ詐欺といった特殊詐欺の被害件数が約1万4000件。
被害額は278億円にもおよびます。
手法は説明するまでもありません。
わかっていても騙される人がいるのです。
いくらWeb3がブロックチェーン技術を使っているとはいえ、運営を名乗る人物からメールがきたらどうでしょう?
そのメールからフィッシングサイトにアクセス。
ログインIDとパスワードを入力するとTHE ENDです。
デジタル資産の「生殺与奪の権」を他人に握られることになりますよね。
いくらブロックチェーンは不正ができないからといっても、絶対に安全・安心とは言い切れないのです。
ブロックチェーンについて勉強している人なら「自分はプライベートチェーン(もしくはコンソーシアムチェーン)は使っていないからこれは詐欺だな」と見抜けます。
知らないと損をするどころか騙されてしまうのです。
インターネットはもはやインフラ。
Web3を知ることはインフラを知ることと同義です。
楽しいネットライフを満喫するためにもコツコツと学習していきましょう。