メディアでは関連のCMが流れたり、番組の題材として取り扱われることも多くなってきたNFT。
ちゃんとNFTの意味を理解していますか?
YouTubeやVoicyでも見たり聞いたりしているNFTですが、今一度学び直し、まとめてみました。
目次 [hide]
NFTとは、「価値を持ったデジタルデータ」
NFTとは「Non Fungible Token(ノン ファンジブル トークン)」の略です。
ピンとこない人は、「価値を持ったデジタルデータ」と考えてください。
それぞれの単語を訳してみると
- Non 否定を表す言葉 訳すなら「非」
- Fungible 代替可能(交換可能)
- Token 代用貨幣、商品券、引換券など (「資産」とも言い換えられますね)
上記より、日本語では「非代替性トークン」と訳されています。
非代替性トークンといわれてもピンときませんよね。
もう少しかみ砕いてみます。
非代替性とは唯一無二
「非代替性」とは「替えがきかない」ということ。
よって「唯一無二(ゆいつむに)」といえます。
ちなみに、あなたや僕も唯一無二の存在なので非代替です。
仮にあなたが飛行機のチケットを持っているとします。
チケットはチケットであり、お金の代わりにはなりません。
他の人のチケットと直接交換することもできません。
もしその場で交換できても使えないのです。
なぜならチケットにはそれぞれ、搭乗日や搭乗者名、座席番号が割り振られているから。
搭乗日、搭乗者名、座席番号が全く同じチケットは存在しません。
そんなの見たことないですよね。
だからこそ「非代替性」とは「唯一無二」といえるのです。
非代替性とは対照的に、代替性の代表といえば「お金」です。
ビットコインすら代替可能な資産といえます。
僕が持っている100円玉とあなたが持っている100円玉を交換しても価値は変わりませんよね。
僕やあなたがもっている100円玉は、他のすべての100円玉と同じ価値があります。
きれいでも汚れていても100円は100円。
これが代替可能ということです。
非代替性を理解したところで「価値」の部分に話を移します。
NFTは品物によって価値が違います。
上記に示した飛行機のチケットで例えてみましょう。
- 搭乗日
- 搭乗者名
- 座席番号
によってチケットの価値が決まります。
飛行機に乗れるチケットという価値ではありません。
「いつ、だれが、どこに座る(座った)チケット」に価値がつくイメージ。
そのチケットの所有権を売買しているんですね。
現在だけでなく、過去(履歴)も価値を決める要素になっています。
過去に有名人が利用した座席ならば価値が上がりそうですね。
よって自分が持っているチケットと人の持っているチケットの価値は違ってきます。
NFTではこの唯一無二の情報が「データ」として記されており、価値を持っているのです。
NFTを支える仕組み、ブロックチェーン
NFTとは切っても切れない関係にあるのが「ブロックチェーン」技術。
また新しい言葉が出てきましたね。
「ブロックチェーン」とは情報を記録する技術のこと。
正しい取引履歴を残せる技術で、ビットコインを裏から支える仕組みとして導入されたのが始まりです。
ブロック単位でデータを管理し、1つのブロックに1つの取引データが入っています。
ブロック内には「取引データ」とは別に、「過去の取引データ」と「ブロックと隣のブロックをつなぐためのデータ」も一緒に入っています。
そんなブロックが鎖状に延々とつながっているので「ブロックチェーン」。
ブロックチェーン最大の特徴-みんなで管理
ブロックチェーン最大の特徴は「みんなで管理(分散型システム)」です。
ブロックチェーンが「分散型」「非中央集権型」と呼ばれる理由にもなっています。
みんなで管理することで得られるメリットが下記。
- データが1か所に集中しないため、システムダウンしにくい
- データの書き換えやハッキングがされにくい
みんなで管理することは、みんなでデータを共有することでもあります。
みんなで監視しあっているともいえるでしょう。
ブロックチェーンを利用すると、金融機関を介すことなくユーザー同士のやり取りが可能です。
分散型と相対するのが中央集権型。
僕たちの身近でいうと、銀行が中央集権型です。
銀行は取引データを巨大なコンピューターでまとめて管理します。
取引データは銀行しか知らないというのが既存のシステムの特徴。
もし銀行のシステムがハッキングによりダウンしたら、ATMからお金が引き出せません。
困りますよね。
1局集中は依存的になりがち。
依存先が倒れたら自分も倒れることになります。
ブロックチェーンならみんなで管理しているためシステム障害が起こりにくく、たとえ自分のところで障害が発生しても他所で復旧。
問題なく取引できます。
まず、ATMに行く必要すらありません。
365日24時間稼働しています。
将来、銀行が完全に不要になる世の中が来るかもしれませんね。
さらに「みんなで管理」するのでデータの書き換えはできません。
データを書き換えるのは、パズルの1ピースを変形させるようなもの。
データを書き換えるとパズルは絶対に完成しなくなるのです。
また、書き換えを行うと隣り合うデータとの整合性がとれないため、書き換えたことがすぐにわかります。
NFTの活用事例3つ
NFTの活用事例は下記の3つ。
- アート
- ゲーム
- 音楽
それぞれの「所有権を売買」しています。
NFTアート
もっともポピュラーでベーシックな活用事例がアートです。
といっても、アート自体はjpgやpngなど、おなじみのファイル形式。
「NFTアートには価値がない!」という意見はファイル形式しか見ていません。
では1万円札はただの紙切れなのか、と問いたいですね。
お札は極論、絵の印刷された紙切れじゃないですか。
価値を見ましょう、価値を!
ブロックチェーン × デジタルアート ⁼ NFTアート
です。
従来、インターネット上にある画像には価値がないとされてきました。
なぜなら簡単にコピーできるから。
しかし、それがデジタルの良さでもありました。
アートにブロックチェーン技術が導入されることで、作成者、作成日、所有者、取引履歴などがデータとして記録され、唯一無二の価値を持ちます。
NFTアートは無形資産として取引され、海外では3桁万円越えも珍しくありません。
有名で高額、価値が認められているNFTアート
- CryptoPunks(クリプトパンク(ス))
- Bored Ape Yacht Club(通称BAYC ベイシーとも)
上記の作品はNFTアートの文化が始まったころから存在しており、有名人が所有するなどして価値が高騰。
現在、1枚4桁万円から取引されています。
また、所有することでコミュニティに参加できます。
ゲーム 遊んで稼ぐ-Play to Earn-
いま、熱いといわれているのがゲーム分野。
ゲームとNFTの組み合わせにより、「遊んで稼ぐ」=「Play to Earn(プレイ トゥ アーン)」が行えるようになりました。
ゲームで稼ぐ方法
- アイテムを売る
- 自作アイテムの販売
- 対戦で勝利
- 大会で上位入賞
- キャラクターやアイテムのレンタル
希少性の高いアイテムはNFTのマーケットにて高値で取引されています。
ゲームによってはアイテムを自作し、販売も可能。
対戦で勝ったり、大会での上位入賞でもお金を稼げます。
Play to Earnで稼ごうとすると、どうしても初期投資が数万~数十万円は必要です。
初期投資ができない人のためにオーナーがいます。
オーナーはキャラクターやアイテムのレンタルを行い、レンタルの対価としてプレイヤーがゲーム内で得た報酬の一部をもらえるのです。
また、「メタバース(仮想空間)」内の土地を購入し、レンタルスペースとして貸出。
利用者から入場料や使用料をもらって稼ぐことも可能です。
マインクラフトや動物の森で自分の敷地に招待し入場料をもらえる、と思うのがわかりやすいでしょう。
有名なNFTゲーム
Axie Infinity
東南アジアではコロナウイルスで働き口がなくなりました。
そこで注目を浴びたのがAxie Infinityです。
サクッと始めるために必要なアイテムやキャラクターはレンタル。
フィリピンではゲームを職にしている人がたくさんいます。
有名なメタバースプラットフォーム
- cluster(クラスター)
- Decentraland(ディセントラランド)
- The Sandbox(ザ サンドボックス)
clusterは無料で遊べるため、メタバースの入門としてはうってつけです。
誰かと知り合い、チャットを楽しみたいという方ならば楽しめます。
clusterに慣れてきたら課金してみるのもありです。
Decentralandで課金に慣れましょう。
ゲーム内通貨はMANA。
The Sandboxはマインクラフトのような角ばった世界観。
好きな人はきっとハマるでしょう。
SANDというゲーム内通貨を使用します。
NFT音楽
NFTと音楽も相性がいい組み合わせの1つ。
レーベルやレコード会社に所属せずとも世界に向けて自身の音楽を発信できるのです。
どこにも所属しないことで手数料を抜かれません。
アーティストにダイレクトに売上が入る仕組みとしてNFT音楽は注目されています。
現在は、インターネットに接続した状態で音楽が楽しめるストリーミング再生が主流です。
プラットフォーム側が手数料を取りすぎではないのか?という問題があります。
人気ゲームFortniteがアプリ内課金で手数料3割の支払いを不服とし、アップルやグーグルに反旗を翻したのは記憶に新しいことでしょう。
音楽業界でも似たようなことが起こっています。
それだけプラットフォームを提供する会社が稼いでいるということ。
もっとアーティストやクリエイターに還元されてもいいはずです。
NFTアート同様、所有権を売買します。
NFTの利用は、GAFAMのような中央集権的な組織からの脱却を促しています。
すでに動き出している会社もあるのです。
また、組織ではなく個人が潤う状態を作り出せる仕組みとして注目されています。
NFTのメリット3つ
NFTのメリットは下記の3つです。
- ロイヤリティの仕組みでクリエイターが潤う
- データが価値を持つ、新しい価値観
- 手数料を抜かれない
ブロックチェーンのメリットともいえます。
ロイヤリティの仕組みでクリエイターが潤う
NFT商品は転売OK。
転売といえばイメージはよくありませんが、ロイヤリティの仕組みがあるため転売推奨です。
2次流通、3次流通とクリエイターの作ったNFT商品が違う人の手に渡るたび、販売額の一部がクリエイターに還元されます。
クリエイターにしてみれば「どんどん転売してくれ~!」ってなりますよね。
ロイヤリティの割合は0~10%までです。
クリエイター自身で設定します。
データが価値持つ、新しい価値観
NFTの出現によりできた新しい価値観。
「データ」が価値を持つようになりました。
- 誰が作ったのか
- 今は誰が所有しているのか
- 過去、誰が所有してきたのか
- いくらで販売されたのか
上記の項目にも価値が付くのです。
価値の担保として存在しているのがブロックチェーン。
ブロックチェーン技術により、データの書き換えはできません。
手数料を抜かれない
NFTは分散型システムのブロックチェーンを採用しています。
よって仲介業者に手数料を支払う必要がありません。
フリーランスならクラウドソーシングサイトを介さず仕事を受注するイメージです。
NFTは売りたい人と買いたい人が直接やり取りします。
手数料が無料のメルカリみたいなものでしょうか。
ただし、NFTを購入するときはガス代と呼ばれる手数料が発生します。
メルカリで例えるなら送料でしょう。
NFTを裏で支えるブロックチェーン技術を管理しているのはユーザー全員です。
真っ当な取引であると証明しているのもまたユーザー。
ガス代は、取引データが正しいかを証明している人(マイナー)に報酬として支払われます。
まとめ:NFTは価値を持ったデータの所有権を売買が目的
各章を一言でまとめてみました。
NFTとは「価値を持ったデジタルデータ」
・NFTとは唯一無二の価値を持ったデジタルデータ
NFTを支える仕組み、ブロックチェーン
・みんなで管理することで不正ができない
NFTの活用事例3つ
・アートやゲーム、音楽に活用されており、他業種への応用も期待されている
NFTのメリット3つ
・既存の中央集権を脱却し、個人が潤う仕組み
人間の脳みそが数%しか使われていないように、NFTもまだまだ可能性の一部を見せているに過ぎないと思っています。
ここからさらに発展していくでしょう。
今のうちに基礎を理解してさらにステップアップしていきましょう。