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【超初級】ブロックチェーン基礎学習 - 仕組みや特徴をわかりやすく解説

仮想通貨から始まり、NFT、DeFi、メタバース、DAO、最近ではWeb3.0。
これらの言葉を見ない・聞かない日が少なくなってきました。

上記のいずれも「ブロックチェーン」技術により成り立っています。
IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)と並び、導入・浸透させることで人々の暮らしがよりよくなると期待されている技術です。
よってブロックチェーンについて詳しくなるのは、上記のいずれについても詳しくなるのと同義。

これからクリプトの世界に飛び込む人なら「仮想通貨」「NFT」「メタバース」あたりが取っつきやすいでしょう。
クリプトを触るなら、ブロックチェーンは絶対に押さえておかなければいけません。

ブロックチェーンについて自分の言葉でまとめてみました。
一緒に学んでいきましょう。

目次

ブロックチェーンとは脱・中央集権の仕組み

次世代の技術。
「分散型台帳」システムともいいます。
正確な取引履歴を残せる技術です。
裏を返せば、不正ができない技術ともいえるでしょう。

今も続く大企業による中央集権的なやり方を根本から変える仕組みです。
これまでは各企業がそれぞれでユーザーのデータを管理していました。

ブロックチェーンを使うと、特定の管理者が必要なくなります。

じゃあ誰が管理するの?と疑問をお持ちでしょう。
管理者はユーザー全員です。
ユーザー全員で分散して管理するから「分散型台帳」。

1件の取引は1つのブロックにデータとして格納されており、時系列で並んでいます。
全ての取引データが存在しているので、「データベース」と理解してもよいでしょう。

ユーザー1人1人がデータベースの一部を持っていると考えてください。

ブロックチェーンの名前の由来

連結されたブロックが、1本の長い鎖のようなので「ブロックチェーン」といいます。

 

ブロックチェーンは「インターネットの登場」と同じくらい大きな技術革新です。
「ビットコインの取引を記録するシステム」として初登場。

日本銀行が日本円の価値を担保しているように、ブロックチェーンは仮想通貨やNFTの価値を担保しています。

ブロックチェーンは実用化されて間もない技術。
まだ可能性の一端しか見せていません。

ブロックチェーンのシステムは汎用性があり、ビジネスからゲームまで、あらゆる分野で応用できる可能性を秘めています。

 

中央集権の問題点「管理者都合で振り回される」

中央集権の問題は、管理者に振り回されることです。
3つ例を挙げてみます。

  • 銀行・・・システム障害を起こすと現金の引き出しができなくなる
  • SNS・・・投稿しているのは自分であっても、規約上はSNS運営会社のもの、SNS上の行動まで監視されており、行動に関連する広告が表示される
  • あなたや僕が勤めている会社・・・会社の決定には従わなければいけない

中央集権的なやり方では、基本的にやりとりが管理者からユーザーへの一方通行。
ユーザーは管理者の都合に従わなければいけません。

また「~社から〇万件の顧客データが流出しました。」というニュースを目にしたことがあるでしょう。
上記のような問題は管理者が1人(1つの企業)であること。

サッカーのように、ゴールキーパー(管理者)さえ突破できればあとは相手の思うつぼなのです。

管理者も人間。
人的ミスが起こることもあり、しわ寄せはユーザーに向かいます。

しかしブロックチェーンを使えば、ユーザー全員がゴールキーパーを含むすべてのポジションをこなせるほか、観客や審判にすらなれるのです。
1つのゴールを数万人のゴールキーパーで守れば、さすがに相手のシュートも入らないでしょう。

3種類あるブロックチェーン

通常、会話の中で使われる「ブロックチェーン」という言葉は3種あるうちの1つでしかありません。
下記がブロックチェーンの3種類です。

  • パブリックチェーン
  • プライベートチェーン
  • コンソーシアムチェーン

カタカナや横文字が苦手な人でもサクッと理解できるように解説していきます。

 

パブリックチェーン

パブリックチェーンの特徴は下記3点。

  • 特定の管理者がいない
  • 誰でも利用できる
  • 取引データはすべて公開

通常「ブロックチェーン」というと、ほとんどがパブリックチェーンをさします。

3種類の中でもっとも取引の透明性が高いのがパブリックチェーンです。
一方、ルール変更や決め事において、決定のスピードが遅いのが弱点。
何かを決めるときはユーザー全員に是非を求める必要があり、一定数以上の同意を得なければ否決となります。
決め方は「多数決」です。
ユーザーが多いほど、選挙のように時間がかかる感じでしょうかね。

 

プライベートチェーン

プライベートチェーンの特徴は下記。

  • 特定の管理者が存在する
  • 利用できるユーザーは限定されている

プライベートチェーンは「中央集権的」な特徴を持っています。
最終的な意思決定は管理者が行います。

企業の仕組みをブロックチェーンにそのまま落とし込んだ感じです。

よってパブリックチェーンと比べると取引の透明性に欠けます。

中央集権がすべて悪いわけではありません。
利用者が限られているため、取引承認のスピードが速いというメリットもあります。

構造上、企業のサービスや金融機関との相性が良いです。

コンソーシアムチェーン

上記2つのブロックチェーンの中間がコンソーシアムチェーンです。
特徴は下記。

  • 複数の管理者が存在する
  • 利用できるユーザーは限定されている

プライベートチェーンの1種ともいわれています。
プライベートチェーンとの違いは「複数の管理者がいる」こと。
決め事やルール変更をするときは管理者間でやり取りをします。
パブリックチェーンよりも意思決定は速く、プライベートチェーンより取引の透明性が高くなっています。
また、管理者それぞれがセキュリティ対策を行うため、改ざんや不正に強いといえるでしょう。

 

ブロックチェーンの仕組み

取引履歴の管理方法が今までとは違います。

キーワードは「分散」。

例えば、あなたがメルカリで商品を売買したとします。
匿名配送なので相手の情報はわかりません。
取引について全てを知っているのはメルカリだけです。
これが今までのやり方。

仮にメルカリがパブリックチェーンを導入したとすると、メルカリのユーザー全員が取引履歴を共有、管理できるようになるのです。
誰かが不正をしないように監視する目的も兼ねています。
全員が管理者でありユーザーといえるでしょう。

 

生成されるブロックも例をあげて解説します。

突然ですが電車を思い浮かべてください。
1つの車両を1つのブロックと想定します。
ブロックは時系列に並んでいるんでしたね。

なので後ろに行くほど車両は新しくなります。

隣り合う車両には、それぞれを接続するためのデータが入っており、連結された状態です。
子供のころやった「ジャンケン列車」のように、取引件数に比例して連結される車両が増えていきます。
取引が続く限り、車両の増設に終わりはありません。

脱・中央集権が進めば個人が企業のようになります。
フリーランスやクリエイターには追い風といえるでしょう。

これからは「個」の時代といわれて久しいですが、「個」を際立たせる技術がブロックチェーンなのです。

 

 

ブロックチェーンの特徴

ブロックチェーンの特徴は下記。
ブロックチェーンを利用することで得られるメリットともいえます。

  • システムダウンに強い
  • データの改ざんができない
  • 取引の透明性が高い

システムダウンに強い
ブロックチェーンはユーザー全員で取引データを共有しています。
よって、仮に自分がシステムダウンしても問題ありません。
他所で復旧し、何事もなく取引は進んでいきます。
ブロックチェーンを利用している誰かのパソコンが動いている限り、365日24時間いつだって利用可能です。

データの改ざんができない
ブロックチェーンはユーザー全員がパズルを1ピースずつ持っているようなもの。
たとえデータを改ざんしたとしても、たった1ピースを変形したにすぎません。
変形するとパズルは完成せず、不正をしたこともすぐにわかります。
完全に改ざんするならすべてのピースを変形させる必要があるのです。
全てのパズルのピースを変形させる労力を考えると、改ざんしようなどとは思いません。

取引の透明性が高い
ユーザー全員で取引データを共有しているので誰でも閲覧が可能です。
取引データは時系列で並んでいます。
過去の取引内容も追跡可能。

 

 

ブロックチェーンの活用事例

仮想通貨から始まったブロックチェーンですが、すでに別の分野でも使われています。
仮想通貨以外でブロックチェーンが使われている事例をピックアップしました。

ソニー デジタルコンテンツの権利情報の証明

日本でもブロックチェーンを活用したシステムが開発されています。

今は誰もがブログやSNS、動画配信サービス等、デジタルコンテンツを気軽に発信できるようになりました。
合わせて効率的にデジタルコンテンツの権利情報を管理・証明する必要も出てきたのです。
デジタルコンテンツの生成と同時に、同社が開発するシステムを呼び出すことで権利発生の証明が自動的に行えるようになります。
デジタル教科書などの教育コンテンツをメインとしていますが、今後は電子書籍や音楽、映画などでも活用を検討している最中です。

ルイ・ヴィトン 真贋の証明

現在、ブランド品の真贋は人が行っています。
目利きのできる人であっても、最終決定者はメーカーです。
どんなに本物だと叫んでも、メーカーが偽物だといえば偽物になります。
逆もしかり。

ブランドの価値を担保する意味でブロックチェーンが利用されています。
真贋作業が必要なくなるため、買取業者などは業務の効率化が図れるでしょう。
「Aura(オーラ)」というコンソーシアムチェーンを使用しており、製品IDと顧客IDを紐づけることで「原材料の調達~販売」までの製品情報を追跡。
また、中古市場での製品の動きも追跡できるようになっています。

製品だけでなく、製品のたどってきた背景にも価値が付く日が来るかもしれませんね。
ルイ・ヴィトンだけでなく、同グループの別ブランドへの導入も目下進行中です。

デジタルIDで本人確認・証明

日本の似たようなシステムでは、マイナンバーカードがありますね。
しかしマイナンバーカードは超アナログです。
なくすと再交付の申請が必要で2週間程度かかってしまいます。
使う頻度も低く、カード自体の管理も面倒です。

住所変更の際も役所へ行かなければならず、住所記入欄がいっぱいになるとやはり再交付。

デジタルIDならインターネット環境さえあれば、いつでもどこでも本人確認が可能になります。

マイナンバーカードは国に管理されていますが、ブロックチェーンを利用すると管理者がいなくても本人証明が可能になるのです。
自分自身のデータをどこまで公開するのかも自分で選べます。

 

 

ブロックチェーンの課題

ブロックチェーン技術は日々進歩しているとはいえ、課題があるのもまた事実。
下記が課題となっています。

  • プライバシー
  • スピード
  • ファイナリティ
  • データスケール

多様性が叫ばれている時代なので、柔軟に対応していかなければなりません。

プライバシー

中央集権的な企業からプライバシーを守る目的も持ち合わせているブロックチェーン。

なのにプライバシーがブロックチェーンの課題に上がるのはおかしいと感じるでしょうね。

取引データを共有することはつまり、共有されたデータは常にインターネット上、ブロックチェーン上にあるということです。
共有されたくない場合はデメリットになります。
取引内容を暗号化しても共有されている事実に変わりはなく、暗号は解読されるのが宿命。

ゼロ知識証明で対応することも検討されていますが、ゼロ知識証明の考え方をブロックチェーンにどこまで落とし込めるか、にかかっています。
プライバシー保護の性能を高くしないとユーザー数は伸びないでしょうね。

プライベートチェーンやコンソーシアムチェーンを使えば多少はマシになるのでしょうが、結局中央主権的になってしまうので悩ましいところです。

ゼロ知識証明

秘密の内容を漏らさずに秘密を知っていることを伝える

秘密を知っているなら正答できる質問を複数投げかけます。
仮に秘密を知らない人に対し2択の質問を10回すると、すべて正解する確率は1024分の1です。
質問や選択肢をさらに多くすることでより確実性を増す。

スピード

ブロックチェーン技術はすでに運用レベルまで来ています。
しかし実用的かといわれるとそうではありません。

前述の通り、ブロックチェーンを最初に導入したのはビットコインです。

ビットコインの決済から承認には10分程度かかってしまいます。
「取引が正しいかを確認する作業」にどうしても時間がかかってしまうため、即時決済は苦手な傾向にあります。
スピードが上がるように外部から仕組み取り入れているのが現状です。

例えば、駅の改札で決済完了までに数分もかかっていては大混乱は必至。

電子マネーやQRコード決済などのように、ストレスなく決済できるレベルに達してほしいですね。

また、1度に処理できるデータの件数もクレジットカードと比べると、徒歩と新幹線くらい違います。

もちろん処理が速いブロックチェーンも存在します。

決済を高速化させるための技術が開発中ですが、まだ実用レベルに達していません。

 

ファイナリティ

日本銀行いわく、ファイナリティとは

  • 受け取った金額が後になって紙くずになったり消えたりしない
  • 決済方法について、行われた決済が後から絶対に取り消されない

上記2点を満たすとファイナリティのある決済とみなされます。

ブロックチェーンを導入している仮想通貨では取引承認の方法によってはファイナリティが担保できません。
具体的にはビットコインのProof of Work。
Proof of Workを採用している仮想通貨では、マイニング争奪戦が行われています。
マイニング報酬を得ようという人たちが一斉に計算処理を始めた際に、計算を始めた人の分だけブロックが生成されるのです。
そのブロックの中にはいずれも同じ情報が格納されています。
1つの取引に対して取引の情報が何個もあっては、どれを参照していいのかわかりません。
このことからファイナリティが担保できないのです。

また、イーサリアムもファイナリティの担保は難しいと考えます。
2016年に発生したTHE DAO事件ではイーサリアムが当時のレートで約52億円分盗まれました。

  • 盗まれたコインは使えなくする
  • ハードフォークでコインを増やすことにより盗まれる前まで実質的に巻き戻し

上記の対応で盗まれた事実を闇に葬っています。

決済とは違いますがこんなことを思うでしょう。

ユーザーC
「不具合が起きるたびに誰かが介入してくると正確な取引履歴を残せるだろうか?」

上記よりファイナリティは担保できないでしょう。

別の取引承認方法やプライベートチェーンを使うことにより対応が可能となっています。
逆に、どのブロックチェーンでも同じようにファイナリティが担保できない、ともいえるので根本的な解決には至っていません。

データスケール

ブロックチェーンは取引履歴がどんどん増えていく技術です。
つまり取引履歴を保存しておくだけのストレージが必要になります。

人間がおなかいっぱいまで食事をするとそれ以上食べられないように、パソコンのデータ容量もいっぱいになるとそれ以降はデータを保存できません。
大容量のストレージを有している人だけがブロックチェーンを運用していくことになってしまいます。

これから更なる発展が期待される技術なので、取引数を減らすことは現実的ではありません。
書き込むデータ容量をいかに減らせるかが鍵になっています。

まとめ

導入から間もないため、ビジネスシーンでの利用がメインになっているブロックチェーン。
芸術やエンタメ分野での活用は始まったばかり。
クリエイターの人たちにとっては追い風であり、活躍の場が広がったといえるでしょう。

こなすべき課題はありますが、それを上回るほどの可能性を秘めています。
インターネットがすでにインフラになっているのと同じように、ブロックチェーンもまたインターネットを支える技術としてインフラ化していくと考えます。
各分野への応用、開発も着々と進んでおり、あとは完成・運用されるのを待つばかり。

日本は海外に比べるとIT分野では数年遅れています。
今の小学生くらいの子供たちが大人になるころには、「ブロックチェーンは知ってて当然」くらいになっていることでしょう。

子供たちに負けないように我々大人もしっかり学んでいきましょう。

 

  • この記事を書いた人

フリーランスになって挫折し、現在は勤め人の30代男性。 ブログは2度挫折を経験済みです。 死ぬときに悔いを残したくないのでブログとフリーランス再挑戦中。

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